次の概念を理解すると、さまざまなプラットフォームにeDirectoryをインストールする場合に、設定が容易になります。
ハードウェア要件は、eDirectoryの実装の条件によって異なります。
たとえば、標準スキーマを使用する基本的なeDirectoryのインストールでは、50,000ユーザごとに約74MBの空きディスク容量が必要です。ただし、新しい属性のセットを追加したり、既存の属性をすべて使用すると、オブジェクトのサイズは拡大します。それに対応して、必要な空きディスク容量、メモリ、およびプロセッサが変わります。
キャッシュメモリの量およびプロセッサの速度の2つの要素が、パフォーマンスの向上に関係します。
最適な結果を得るためには、DIBセットのできるだけ多くの部分をキャッシュに入れるようにします。「エントリキャッシュとブロックキャッシュでメモリを配分する」を参照してください。
eDirectoryは単一のプロセッサ上で良好に動作します。ただし、eDirectory 8.6では、複数のプロセッサを利用できます。プロセッサを追加すると、ログイン時のパフォーマンスが向上するほかに、複数のプロセッサ上で複数のスレッドをアクティブにできるなどの利点があります。eDirectory自体は、プロセッサ集中型ではなく、入出力集中型です。
「表 1」は、NetWare、Windows NT/2000、およびLinuxでeDirectoryを使用する場合の代表的なシステム推奨値を示しています。
表 1. NetWare、Windows、およびLinuxのシステム要件
| オブジェクト | プロセッサ | メモリ | ハードディスク | 
|---|---|---|---|
10万  | 
Pentium* III 450〜700MHz(単一)  | 
384MB  | 
144MB  | 
100万  | 
Pentium III 450〜700MHz(二重)  | 
2GB  | 
1.5GB  | 
1,000万  | 
Pentium III 450〜700 MHz (2〜4)  | 
2GB +  | 
15GB  | 
「表 2」は、SolarisでeDirectoryを使用する場合の代表的なシステム推奨値を示しています。
表 2. Solarisのシステム要件
| オブジェクト | プロセッサ | メモリ | ハードディスク | 
|---|---|---|---|
10万  | 
Sun* Enterprise 220  | 
384MB  | 
144MB  | 
100万  | 
Sun Enterprise 450  | 
2GB  | 
1.5GB  | 
1,000万  | 
Sun Enterprise 4500(複数のプロセッサ使用)  | 
2GB +  | 
15GB  | 
プロセッサの要件は、コンピュータが提供する追加サービス数と、コンピュータが処理する認証数および読み込み/書き込み数に応じて、表に示した内容よりも高くなる場合があります。暗号化や索引付けなどの処理では、プロセッサが集中して使用されることがあります。
高速なプロセッサではパフォーマンスが向上します。また、メモリの追加によってパフォーマンスを上げることもできます。メモリが増えれば、その分、ディレクトリのより多くの部分をキャッシュに入れることができます。
Novell eDirectory 8.6にアップグレードすると内部eDirectory識別子が変わるため、オブジェクトの整合性を保つために、バックリンクされたオブジェクトを更新するバックリンク処理を行う必要があります。
バックリンクでは、他のサーバ上のオブジェクトへの外部参照が追跡されます。バックリンク処理は、サーバ上の各外部参照について、実オブジェクトが正しい位置に存在することを確認するほか、マスタレプリカのすべてのバックリンク属性を確認します。バックリンク処理はローカルデータベースのオープンの2時間後に実行され、その後780分(13時間)ごとに1回実行されます。実行間隔には、2分から10,080分(7日)までの任意の値を設定できます。
eDirectory 8.6に移行後、サーバコンソールからSET DSTRACE=*Bコマンドを発行して、強制的にバックリンクを実行することを推奨します。LinuxおよびSolarisシステムの場合は、ndstraceコマンドプロンプトからこのコマンドを実行します。バックリンク処理の実行は、レプリカが存在しないサーバ上では特に重要です。
 